犬!

メキシコに入ってから、毎日のようにお世話になっている国道15D。片側二車線のハイウェイ?料金所が時々出現するが、車の横を縫うように走って笑顔で通過している。自転車は料金が掛らないのだ。
 ところで、この道、路肩がほぼ無いところが圧倒的に多い。時々、出現する幅1メートルほどの路肩はいつもぬか喜びを約束してくれる。そして、よく犬が轢かれて死んでいる。犬だけではなく、ウサギ、猫、なぜか鳥、アライグマ?など中には巨大トレーラーに踏まれたのかペッチャンコで正体が全く分からない生物の遺骸が無残な姿をさらしている。ナンマンダブナンマンダブ。
それを見つけるたびに自分もこうならないように!と祈りながら走っている。
しかし、大方のドライバーは大きく道をよけてすれ違っていってくれるので、身の危険を感じる事は無い。
 朝、お世話になった安宿を後にしようと自転車を引きながらお店のほうに歩いていくと犬が3匹。
 昨日来た時も自転車が怖いのか?客の僕に吠えまくって、危うく噛み付かれそうになったここの番犬。
また、自転車を引いた僕を見つけ吠えまくる。
僕は気にしない。
自転車を止めようとバランスをとっていると、店主の制止を振り切って僕の左足をガブッ。
オイオイオイオイ。
噛まれたが、威嚇の甘噛み程度(犬のマジ噛みは、犬を飼っていたので分かる)だったし、飼い犬だったので狂犬病などは心配ないが、とりあえず消毒しといた。
思えばこの日これが厄災の始まりだった・・・・。
宿を後にし走る事、10キロほど行くと道路上に黒煙が。
遠くからは何が燃えているのか分からなかった。
焼畑でもやっているのか、火事か?と思いながら走っていると、通り過ぎていく車が速度を落としていくので、おや、っと再び前方を見遣ると・・・・。

道を塞いで横転し燃え上がるトラック。やったばかりで未だ警察もやってきてない。次々に止まる車。間を縫って最前列まで行くと激しく黒煙を上げ燃え盛っていた。
今日は、120キロ走ろうと思っていたが・・・・。と思いながら次々に車から降りてやってくるメキシコ人と一緒に事の顛末を見届ける。
時間が過ぎていく。
結局警察がやってきて反対側の車線の片側を通れるようにしたみたいだった。でも、登りと下りの道の間には7から8メートルくらいの草ボウボウのガレ場がある。しかし行くしかない。車は強引に横切り始めている。
 僕も後に続き自転車を押して反対側へ。そして炎上する車を通り過ぎた辺りで再び戻る。自転車を押して。
これがいけなかったのか、その後、快調に走り出したが数キロ先で走りに違和感が。
タイヤがパンクである。
道路脇に止まってせっせとパンク修理。メキシコの日差しは強い。日中、照り返しも手伝って30度くらいになる。汗をポタポタたらしながらパンクの原因物体をタイヤの内側を探って探すが、いくら探しても見つからない。
 なぜ!?犬の呪いか?トラックの呪いか?
何とかパンクを直すと、時間はもう11時を回ろうとしていた。未だ、20キロくらいしか走ってないのに・・・・・。
結局、この日、50キロ先の町に早々と宿を取り、渇いた体を潤すべくビールを買いに行く私であった・・・・。

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