１６０キロ。

その日、朝のんびりと出発した。
ネットで確認したところ大きな都市まではおよそ１６０キロ。しかし、その丁度半分くらいのところに小さい町があることが分かったので、たぶん、宿があるだろうと考え８０キロなら余裕だ。と思った。
朝、コンビニで朝食を買って店から出てくると、警官のオッサンが話しかけてきた。スペイン語が出来ないとわかると、英語で話してきた。まぁ、彼の英語も怪しい英語だったが、会話の内容は分かった。どうやら、外国人と世間話がしたかったみたいで「どこから来て、どこへ行くのか」とか、「チリのフエゴ島へ行くのか？」とか、「今まで何キロ走ってきたんだ？」とか。
ラファエロと名乗るこのオッサン。
陽気なメキシコ人らしい。
「オー、マイフレンド　お前にはこのナボホアで警官やっているラファエロって友達が居るからな」
見たいな事を言って握手して去って行った。
本当に面白い。
ここまで６キロほど来ていた。そしてここを出たのが、１０時過ぎ。まぁ、余裕で２時３時頃着くと思っていた。
確かに、目的地には２時頃到着したが、町というか村。ホテルらしきものは無い。
う～ん。まぁ、もう少し行けば別の町があると地図にはあったので悲観せず進む。
しかし・・・・。ホテルは無い。
う～ん。１００キロ走たところで作戦会議。野宿も視野に入れて暗くなるまで走るか？時間は３時を回っていた。
道には１キロごとに道の長さを標した標識がある。
２日で行くつもりだったロスモチスまで、出発時点で１６０キロだったが、もう、残り６０キロ。・・・・（－－；
町は無い・・・・。
ホテルも無い・・・・。
日暮れまで２時間半？３時間？
走れなくはないが・・・。
疲れたぁ～。
メーターは１１０キロ
１２０キロ
・・・・。
あ！ガソリンスタンド！と、ＯＸＸＯストアが！（メキシコのコンビニのひとつ）
時間は４時。とりあえず冷たいのみものを。
レジでおばちゃんに「この辺にホテルある？」と聞く。
「モチスまで行かないと無いよ。あんた自転車かい？」と言って首を振るおばちゃん。
モチスまで未だ４０もあるじゃねぇッスか！
はぁ～。
２リットルのファンタオレンジをガブ飲みしてチャージする。
腹を決めて、走ればギリギリ暗くなる前に着くか着かないか・・・・。
１３０。
１４０。
はぁ～。太陽さんよ！もうちょっと僕を照らしていておくれ！
１５０。
太陽さ～ん。
モチスまで残り１０。
過去にカナダのホワイトホースまで自己最高１５６キロ走ったが、今回はそれを上回るキロク。夢の１００マイルだ！（しかし、世の中には凄い人が居るもので、２３０キロとか２４０とか走った先輩もいらっしゃるのでいつか僕も・・・・頑張りたい・・！）
結局、暗くなってしまって走っていた。
モチス遠し・・・。まだまだか・・・・。
写真も撮る余裕すら無かったし・・・・。