国境を越えればそこは

朝、目を覚ます。今日はメキシコへ入国する予定。どうも気が乗らなかった。
言葉も全く分からんし、クリスマスイブに偵察に行ったときに目の当たりにしたあの混沌とした世界に正直ビビッていた。
しかし、いつまでもビビッて居るわけにも行かず、宿代もバカにならない。出発の時間を9時に決め、身支度を整えていた。

時間が来て、2泊お世話になったモーテルをチェックアウト。5キロ先の国境へ。

やっぱり、イブほどの言うか、まったくと言っていいほど車道も歩道も混雑しておらずアメリカ側のイミグレーションの前に到着。

2人の国境警備のオッサンが声をかけてきた。

どこへ行くんだ?自転車で行くのか?お前はサムライか?などと気さくに話しかけてきてくれ、こちらもどこでI-94のカード(ツーリストカード)を返せばいいのか聞くことが出来た。

「自転車俺が見ててやるから2階のオフィスで返して来いよ」と若い方のオッサン。
そして年配の方のオッサンが2階に案内。カードを返して戻る。
自転車を引きながらイミグレーションビルの中を通過してメキシコへ。
案内してくれたオッサンが、「気をつけて行けよ」と言って握手してくれた。

出だし好調。

そしてメキシコ側のイミグレーションへ。メキシコ人はとても親切だった、オフィスへ入るときに自転車を引いている僕にドアを開けてくれる向かいの保険会社のオッサン。イミグレーションの担当係官のオッサンは英語は全く分からないようだが、スペイン語が全くの僕にも横柄な態度など全く見せず英語の少し分かる若いオネーチャンに間に入ってもらいながらツーリストカードの書き方や入国税の払い方を教えてくれた。そして事が終わってオフィスを出るとき、今度は別のお客がドアを開けていてくれたりと本当に感じがいい。

両替屋でUS200ドルをメキシコペソへ。
2520ペソに
1ドルおおよそ7円くらい。

準備万端、出だし絶好調で自転車に跨る。町人たちはジロジロと自転車の僕を見てくるが、それはまぁ、当然な事。そんな奴にお目にかからないので珍しいに違いない。気にせず走り出す。

そこはもう、アメリカとは全く違う風景が広がる。途上国の雰囲気。
SANY0309.JPG
道はひび割れボコボコ。排ガスの臭いがきつく鼻を突く。路上駐車の車をよけながら進む。肌の真っ黒なオッサンが大声で何か話しかけてくるがさっぱり分からない。
聞いていた話だったが国道も路肩が殆ど無い。気を張って走る僕の横を素晴らしくシビアな間隔で轟音を立てながら追い抜いていく大型トラック。

全てが新鮮で、楽しく、ワクワクしてきていた。今朝モーテルで暗い気持ちで居た自分が馬鹿馬鹿しく思えた。

70キロ走って着いた街でホテルを探し宿を取った。宿代も300ペソ(およそ2100円)とアメリカに比べ安い。

さらに安いのがビール。355ml缶×6で驚きの42ペソ(およそ294円)

宿屋がやっている屋台食堂のタコスにチャレンジ。2個頼む。2個で40ペソ。
これが物凄くうまい。もう、3食タコスでもいいと思うほどに。肉の香ばしさと野菜のシャキシャキした歯ごたえ、そしてお好みで加えるソースやトッピング。

SANY0315.JPG

食事を終え宿でスペイン語の辞書と文法書を開きお勉強。必要に迫られているだけに、よく頭に入ってくる。自分なりに必要な会話を思い描いてスペイン語作文。

さて、明日はどこまでいこうか。

コメントを残す