メデジンの町を出ると再び、道は山岳地帯へと続いた。
1500メートルから一度2400メートルまで上がったあと、
1800まで下がる。そこに町がある。初日はほどほどで50~60キロほどで宿を取ろうと
決めていた。
のぼり坂ではペースが断然落ちる。時速5~6キロ。傾斜がひどいと4.5キロとか。
よってずっとのぼりが続くと朝から2~3時間走っても走行距離が12キロとか
18キロとかになる。
かなり数字を見ると士気が下がる。が、のぼりがあればくだりがある。
くだりで一気に挽回できるし、平坦な道を走ってもつまらない。
自転車乗りは坂道に燃える。標高があがればあがるほど、坂道が長ければ長いほど。
達成感は格段だ。
自転車旅が教えてくれたこと。
自転車旅は人生そのもの。
目的地を決め、そこに向かって、自転車を漕ぐ。
目的地に着くには、雨の日も、向かい風の日も、日差しの暑い日も、
2400メートルの峠もあるだろう。
気が乗らない日、何でこんなことやってるのかって思う日も、孤独に心が締め付けられる日も、昨日の自分よりも前に進めているかどうか不安になる日もあるだろう。
周りの景色、町の雰囲気、に活気付き、現地人とのふれあいに心が温められる時も、1日の走行の達成感に浸り幸せな晩酌のひと時に癒されることもあるだろう。
そう、どんな出来事や、感情が自分を襲ってきても、目的地に向かって前進する。
自分らしい考え方、性格、癖、行動をもった自分が精一杯、最善のものを求めて決断しながら。
目的地に向かうことを諦めなければ、いつかきっと、その場所に間違いなく到達できる。
時間がかかっても。必ず。
僕らは、人生の中でさまざまな不安を抱え、時に焦りを覚える。このままでいいのかと?
長い長い坂道を登るとき、1日の工程を考えて、距離を稼ごうと、早く安心しようと、
焦ってしまって、心拍数が上がって体が無理をしているのに、オーバーワークしてしまう。結果、
途中で息切れして走行は長く続かず、余計に休憩を必要としてしまう。
人にはそれぞれの、固有のペースがある。
驚いたことに、心拍数、心臓の鼓動に耳を傾け、それが上がらないようにゆっくりとじっくり
と構えて漕いでゆくと、どんな長い坂道も意外と漕ぎ続けてゆける。
そんなときが何よりも心地よく、さらにペダルを踏み込む活力を与えてくれる。
良い時も悪い時もあるだろう。でも、進むことをやめないこと。
自分らしく、前へ。。。。
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